【実録】施工図からCAV、VAV発注リストを作る時の「6つの急所」。施工管理が吊り直しと性能不備を回避するための知恵

現場管理

空調設備の施工管理を始めて数年の若手の皆さん、毎日の業務お疲れ様です。

施工図から一台ずつCAVやVAVを拾い出し、発注リストを作る作業。非常に地味で神経を使いますが、実はここが施工管理の腕の見せ所です。

今回は、私が実際に施工図から拾い出して作成しているリストを例に、「拾い出しの時にどこに神経を集中すべきか」と、万が一ミスをした時の「現場でのリカバリー方法」をお伝えします。

1. 装置の「勝手(向き)」を1台ずつ指差し確認する

施工図からリストに転記する際、最もミスが起きやすいのが「装置向き(風を背にして右・左)」です。

• なぜ重要か: 電装ボックスがメンテナンスできない方向(壁や梁、他設備など)を向いてしまうと、試運転調整や故障時の基板交換が物理的にできなくなります。

• 私の苦い経験: 向きの確認を怠ったまま発注し、ビル管理の方に「これでは電装ボックスが開けられないよ」と指摘を受け、実際に吊り直しをすることに……。

【もし向きを間違えてしまったら?】現場でのリカバリー術

万が一、勝手を間違えて搬入してしまった場合、現場を収めるための「裏技」があります。

• 対処法: 本体の上下を逆さまにして吊り込む。

• 施工のコツ: もともとの吊りピースはリベットやボルトナットで固定されており、外すのが困難です。そのため、鉄製の巻きバンドを本体の前後2か所に回して取り付けることで、上下逆の状態でも吊り込みが可能になります。

• 注意点: CAV・VAVは上下逆でも性能的には問題ありません。ただし、「電装ボックスの文字が逆さまになる」「ボックス内面に埃が溜まりやすくなる」というデメリットがあります。この点も含め、監理者と誠実に相談し、承諾を得ることが大切です。

2. サイズ選定の極意:「推奨値以下」と「設定風量以内」

単にカタログの風量レンジ(設定可能範囲)に入っていれば良いわけではありません。

• 最大風量の推奨値以下か: 騒音を抑え、安定動作させるための「推奨最大風量」を超えていないか。

• 設定風量以内か: 現場での常用風量が、その機器の最も安定した制御範囲に収まっているか。

「ダクト径=機器サイズ」という思い込みは捨て、必ずメーカーの選定表で裏付けを取ってください。

3. 材質の選定:ダクトとの整合性と「用途別」の特殊仕様

材質欄(例:鋼板製)も、設置環境に合わせて精査が必要です。

• 基本はダクトと同じ: 基本的には接続されるダクトの材質に合わせておけば問題ありません。

用途による違いに注意

• 厨房排気用: 油分による固着を防ぐ「油対策」の有無を確認。

• 外気処理用: 結露や外気にさらされるため、可動軸をステンレス(SUS)にする等の検討が必要。

• 監理者との協議: 現場の用途に合わせ、仕様を監理者と相談して納入仕様書の承認を確実に得ることが、後々のトラブルを防ぐ唯一の道です。

4. センサー方式の確認:プロペラ型と熱線型

CAV・VAVが風量を検知するための「センサー」にも種類があります。現場の用途に適しているか確認しましょう。

• プロペラ型(風車式): 物理的にプロペラを回して計測します。比較的汚れに強く、メンテナンス性が高いのが特徴です。

• 熱線型: 熱したセンサーが風で冷やされる度合いで計測します。低風量の検知に優れますが、油分や粉塵に弱い面があります。

5. 自動制御工事との連携:コントローラーの「先送り」段取り

電子式CAV・VAVの場合、本体を発注するだけでは不十分です。施工管理として以下の調整を行いましょう。

• 型番の確認: 自動制御工事会社へ、採用するコントローラーのメーカー・型番を事前に確認します。

• 先送り・工場組み込み: 制御会社からメーカーへコントローラーを「先送り」してもらい、工場で組み込んだ状態で搬入させる。この段取りが現場作業を劇的に楽にします。

6. アドレスの整合性と納期の管理

リストの最終項目まで、それぞれの目的を持って確認しましょう。

• アドレスの確認: 各機器に割り振られたアドレスが、自動制御図(計装図)の系統と正しく一致しているかを確認します。ここがズレると中央監視での操作がバラバラになってしまいます。

• 納期(納品予定日)の管理: 現場の搬入工程に合わせるのはもちろん、そこから逆算して「いつまでに承認図の持ち回りを終えるべきか」を判断する指標にします。

まとめ:拾い出しリストは「現場の設計図」

施工図からリストへ数値を移す作業は、単なる事務作業ではありません。「現場を最後まで問題なく動かすための再設計」です。

1. 向きはメンテナンスができるか?(ミス時は巻きバンドで対応可)

2. サイズは推奨値以下・設定風量以内か?

3. 材質・センサー仕様は用途に適しているか?

4. 計装会社との連携(コントローラー先送り)は済んだか?

この1行ずつの拾い出しに込める注意力が、完成後の「吊り直し」や「性能不備」を防いでくれます。私の経験が、皆さんの正確な施工管理に繋がれば幸いです。

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