■はじめに
空調設備の現場で、施工管理が最も頻繁に発注・管理するのが「グラスウールボックス(GWBOX)」と「消音フレキ」です。これらは標準的な部材だからこそ、発注時の一呼吸の確認不足や、取り付け時の「納め方の甘さ」が、竣工後の結露や騒音トラブルに直結します。
天井を閉じた後に不具合が発覚すれば、解体・復旧に多大なコストを要します。今回は、手戻りを防ぐために施工管理が確実に押さえておくべき「施工の鉄則」をまとめました。
■1. グラスウールボックス:発注・製作時の重要事項
ボックスの製作は、メーカー指定の「製作指示書(発注シート)」への正確な記入がすべてです。用途に合わせて以下のポイントを確実に実行してください。
① 制気口用ボックス:開口寸法と意匠
- 制気口の「開口取り付けサイズ」を厳守する:制気口には製品ごとに仕様書上の「開口寸法」が定められています。ボックス側の開口がこれと1mmでも異なると、現場で嵌まらなかったり、隙間から気密漏れ・結露の原因になります。カタログや決定図との照合を徹底してください。
- 「ロングネック」対応と内部検討:意匠上の都合でネックを長く製作する際は、単に延長するだけでなく、気流が偏らないか、自重に耐えうる補強が必要かなどの検討を徹底してください。
② 機器直結用(PAC・FCUチャンバー):接続と防露
- 機器接続口のサイズ確認:空調機本体のフランジ寸法に基づき、メーカー仕様書通りの開口サイズで発注してください。ここが狂うと、現場でのダクト吊り込み作業が完全にストップします。
- 安易なサイズ変更(拡大)の禁止:消音フレキ接続のカラーのサイズが合わないからといって、レジューサーで無理にサイズを上げる(拡大する)のは厳禁です。急拡大は気流の乱れを生み、風量不足や騒音の原因となります。ボックス側の開口を適切に発注しましょう。(※縮小方向の調整は、気流への影響が少ないため許容されるケースもあります)
- 「防露処理(ペフ貼り)」を製作段階で指示する:機器との接続部は、わずかな保温の欠落が結露に直結します。現場での保温忘れや施工不良を防ぐため、製作段階でメーカーに「接続フランジへのペフ貼り」を指示してください。これにより、現場の品質担保と作業効率が格段に向上します。
■2. 消音フレキ:発注・品質管理のポイント
既製品である消音フレキは、現場のルートに合わせた「事前の選定」と「工場加工の活用」が管理の鍵となります。
- 施工図データによる工場加工(プレカット)の活用:消音フレキは、決定した施工図データを製作メーカーに送ることで、必要な長さに切断して納品してもらえます。工場で端部処理まで行われた製品は品質が安定しており、現場での飛散リスクも抑えられます。施工時期に間に合うよう、計画的な発注を心掛けてください。
- 現場加工を極力行わない:現場での場当たり的な切断は、品質のバラツキを招き、気密不良や断熱欠損の原因となります。原則としてプレカット品を採用し、どうしても現場加工が必要な場合に限って、あらかじめ決めた施工手順と品質管理基準を徹底してください。
- 定尺選定と一本物接続の徹底:摩擦抵抗の増大を防ぐため、可能な限り繋ぎ目を排除してください。ルート長を事前に正確に把握し、最適な定尺サイズで発注することが不可欠です。
■3. グラスウールボックスと消音フレキの取り付け方法について
現場でボックスを吊り込み、消音フレキを接続する際の「確実な施工手順」が、設備の寿命と品質を左右します。
① ボックスの「独立支持」
- 機器に荷重をかけない:ボックスを空調機のフランジ接続だけで保持してはいけません。必ず全ねじ等でボックス本体を独立して吊り込み、機器本体への負荷やドレン勾配の狂いを防いでください。
② 消音フレキの接続計画と施工品質
- 消音フレキの「長さ制限」を遵守する:消音フレキは内面の摩擦抵抗が高いため、安易な延長は風量不足に直結します。設計図に長さ制限の記載がないか必ず確認し、施工要領書で「最大使用長さ」を明確に規定してください。現場での「なりゆき施工」は厳禁です。
- 「側面または上面」からの取り出し:ボックス下側(天井側)からの垂直取り出しは避けるべきです。消音フレキの自重が接続部に垂直にかかり、将来的な脱落や気密漏れのリスクを高めます。
- 曲がり半径を適正に保つ:消音フレキを急激に曲げると消音効果が低下し、抵抗が増大します。「曲がり半径Rは直径Dの1.5倍以上(R ≧ 1.5D)」を確保した、無理のないルート計画を徹底させてください。
③ 物理的保護の徹底
- 施工要領書で「外皮の突き刺し」を防止する:支持用の全ねじの端部が消音フレキを突き破らないよう、「全ねじの余長カット」や「塩ビバンドの取り付け方法」を施工要領書に明記し、現場作業員へ周知徹底してください。
■4. 施工確認のタイミングを逃さない
施工管理として、以下の二段階の現場確認を徹底してください。天井を閉じた後の手直しは、多大な労力とコストを要します。
- 吊り込み完了時(天井下地着手前):ボックスの独立支持、消音フレキ接続部の気密、外皮の損傷がないかを点検します。
- 天井下地完了後:LGS(軽天)施工時に、下地材の端部などで消音フレキやボックスが傷つけられていないかの最終点検を行います。
■おわりに:現場での「一呼吸の確認」が信頼を築く
製作を依頼し、現場を確認する際に、以下の項目を自問してください。
- 接続口は施工要領通りに接続されているか?
- 結露リスクはないか?
- ボックスは独立して吊られているか?
- グラスボックス・消音フレキに傷はないか?
施工図をなぞるだけの管理から一歩進み、竣工後の「トラブルのない天井」を想像しながら現場を歩く。その一工夫の管理が、協力会社からの信頼と、プロとしての評価に繋がります。


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